シャンパーニュ地方は、ランスやエペルネーを中心とするフランス北東部のワイン産地です。石灰質の大地と冷涼な気候が生むブドウから、この地だけで造られる特別なスパークリングワイン「シャンパン」が誕生しました。
シャンパンは瓶の中で二次発酵させることで、きめ細やかな泡を生み出すのが特徴。辛口の「ブリュット」や繊細な「ブラン・ド・ブラン」、華やかな「ロゼ」など、種類も豊富です。結婚式や記念日など、人生の節目を祝う飲み物として世界中で愛されてきました。ランスの街を訪れると、地下に広がる巨大なセラーや、長い伝統を誇る名門メゾンの歴史を間近に感じることができます。
Villedommange©GrandReims
Caves©GrandReims
フジタをランスへと導いた縁の中心にあったのは、シャンパーニュ地方を代表する二つのメゾン、G.H.マム社とテタンジェ社でした。
マム社の取締役ルネ・ラルーは、パリでフジタの描いたバラに魅了され、シャンパンのラベルを依頼したことをきっかけに深い友情を結びます。その絆はやがて、ランス大聖堂での洗礼式、さらには礼拝堂の建立へとつながりました。洗礼式の日、フジタは「教会を装飾するのが私の夢」と語り、その夢は晩年に実現していきます。
一方、テタンジェ家もまた重要な存在でした。創業家の縁戚にあたるベアトリス・テタンジェが洗礼式で代母を務め、フジタ夫妻の改宗を支えました。こうして両メゾンの友情と信頼が、フジタの晩年の創作と信仰を力強く後押ししたのです。
【追加コンテンツ】
・シャンパンとアペリティフのセット
・シャンパンイベント